黒瀬街道

黒瀬街道(其の6)と見行山 八百津町・恵那市 2017年1月5日(木) 地形図「付知

福地蔵橋から坂折峠(福地峠)を越えて中野方の権現神社までを歩く。寄り道して見行山も見に行く。


《福地峠について》

岐阜県国道工事事務所の『美濃の峠』によれば、八百津町福地と白川町赤河をつなぐ地図上の「福地峠」は八百津町側・白川町側ともに呼びならわされた地名ではないという。現地では「小倉坂」と呼ばれているとある。
「それでは『福地峠』は旧来どこを指すものであったのか」と続くが、ここは理解できない地形が峠と記されていて信憑性がない。

黒瀬街道の坂折峠にあった標識には「福地峠」とあり、これは中野方が建てたものなので信頼性は高い。ただ、近年恵那市の建てた案内板には「坂折峠」と記されている。

残念ながら、「国土基本図」は全てに優先するので、地元が「変だ」と思っても百々ヶ峰改訂ほどの熱意を持たないと変更には至らないようだ。

地図


【時間】

福地いろどりむら09:45−中峠10:30−坂折峠11:05−権現神社11:50

権現神社12:05−坂折峠12:55−見行山13:45−福地いろどりむら14:25


《福地いろどりむら》

ヘアピンカーブの付近を行ったり来たり、止まっては踏み跡を探したりしていると、林道から出てきた軽トラが止まった。「黒瀬街道の入り口は何所ですか?」と聞くと、目の前の踏み跡を教えて下さった。

いぼ岩様(いぼ神様)・六部様のことなど、いろいろ聞くと親切に教えて下さり、「車はいろどりむらに置いて階段を下ればいい」とのこと。車を戻し駐車場で準備をしていると、その方はいろどりむら母屋向かいの家の方だったようで『福地いろどりむら通信』の最新号を持って来て下さった。


《坂折峠まで》

駐車場所から見行山登山道の新しい階段を下り、一旦県道に出て教えてもらった踏み跡に入った。山側には新しい林道があり街道跡の掘れ道は潰されそうだ。
道をたどれなくなり、林道に上がると下に土橋が見え、これを渡ると登山道を横切る。もう1つ土橋を渡るが掘れ道は倒木でたどれなくなり登山道に合流する。
黒瀬街道の入口 登山道と土橋
黒瀬街道の入口(県道分岐) 登山道と土橋

ここからは県道のガードレールの切れ目を目指すので登山道を行く。県道を横切り登山道に入ったが、先般教えてもらった谷から離れるので谷の縁を歩くが道はない。そして2本の大木の根元に大岩があり、間違いなく「いぼ岩様」だ。小石を首筋に当て、いぼが取れますようにと大岩にそなえた。
いぼ岩様 いぼ岩様
いぼ岩様 いぼ岩様

いぼ岩様からは道筋がはっきりしていて、例の如く脇には石が積み上げられている。「いぼ岩峠」を越え、気が付くと下に県道が見え、更に林道の入り口も見えた。しまった、「六部様」を通り過ぎた。ネットで見ると立派な祠なのに見落としたのか?

今度はすぐ上に掘れ道が出てくるがこれが地形図にある実線の道のようだ。そして大きな囲い罠のある「黒瀬街道中峠」を通過した。
いぼ岩峠手前の道 中峠の囲い罠
いぼ岩峠手前の道 中峠の囲い罠

林道のT字の所から踏み跡に下った。初めは薄いササヤブだったがその内に背丈程のササヤブになり、所々にぬかるみがある。本来の道幅は1間くらいはあるようだが・・・、踏み跡があるだけましか。
ササヤブ ぬかるみ
ササヤブ ぬかるみ

広い沢に出た。ここが町市境と思い斜面に道を探すが見付からず、沢を横切った所にある薄い踏み跡に入った。すぐにまた小さい沢に出合い、頃合い良しと斜面を登ったが道跡はない。

倒木を跨ぐ時、また転んだ。炭焼き跡があり、「このパターンは・・・」と探すと道があり鞍部を目指した。そして「福地峠」の標識のある峠道に出合った。
広い沢 坂折峠
広い沢

坂折峠(福地峠、右手から登って来た)

福地側 中野方側
福地側 中野方側

《権現神社まで》

峠を越すとすぐに「殿様の井戸」がある。石で四角く囲ってあって、深さは40cmあるそうだが、苔むしていてよく見えない。街道跡は次第に小川状態になり、坂折川を渡る。この橋は「むねの木橋」。

ここからは廃林道の趣きになる。次は馬頭観音の祠。観音さまは三面六臂で安永三年だそうだ。
殿様の井戸 馬頭観音さま
殿様の井戸 馬頭観音さま

突然視界が開け坂折棚田の一番上の段に出た。
ここからは坂折川に沿って下り、岩竹川を渡って5年ぶりの権現神社に到着した。
棚田最上段から笠置山 権現神社内、笠置神社遥拝所
棚田最上段から笠置山 権現神社内、笠置神社遥拝所

《戻り》

権現神社から県道に下って、雨乞い岩(移設されたもの)を見て、権現橋(岩竹川)を渡って坂折川に沿って登って行く。
雨乞い岩 黒瀬街道
雨乞い岩


棚田のあぜ道(黒瀬街道)
坂折峠は左の尾根の裏

坂折峠からは街道筋を下って、何所で迷ったかを確認したい。が、ササヤブを嫌い林道を行った。町市境の谷を過ぎ、新しい地形図にある谷沿いの林道を登ろうと思ったが100m程でなくなった。

黒瀬街道中峠から右手の林道を登るが、この林道は山頂整備のために延長されたようだ。そして17年ぶりの見行山山頂。ベンチも設置され、しっかり整備されている。
笠置山の向こうに恵那山 林道の延長部分
林道から、笠置山の向こうに恵那山 林道の延長部分

山頂風景 福地本郷が見える
山頂風景 福地本郷が見える

下山は登山道を使った。作った人達に感謝して一段ずつ下る。県道を横断して丸木橋を2回渡ると福地いろどりむらの炭焼窯の横を通り、駐車場所に戻った。
福地いろどりむら炭焼窯 福地いろどりむら「小さな家」建築中
福地いろどりむら炭焼窯 福地いろどりむら「小さな家」建築中

《雑感》

それにしても、地理院地図にはありもしない林道の記載が多い。建設して10年経過しても記載のない道もあるなか、民間の地図の修正が進んでいるのは何故なんだ。


福地いろどりむら : 開村まで後1年、現在整備が進んでいます。(2017年1月現在)

黒瀬街道 其の1 (福地村下落合〜久田見村清水谷)
黒瀬街道 其の2 (小屋ヶ根峠、細目村鯉居〜久田見村清水谷)
黒瀬街道 其の3 (黒瀬湊〜鯉居橋)
黒瀬街道 其の4 (たがみ峠越え、中野方村笹葉〜蛭川村辻屋橋)
黒瀬街道 其の5 (蛭川村辻屋橋〜高山村狸洞
黒瀬街道 其の6 (坂折峠越え、福地村蔵橋〜中野方村権現神社)
黒瀬街道 其の7 (中野方村内と権現山)
黒瀬街道 其の8 (最終章、高山村木積沢狸洞から日比野村並松の飛騨街道分岐まで)
黒瀬街道 特別編 (久田見中盛西・野黒と小洞辻)


美濃一人山名録2017>黒瀬街道(其の6)