石仏峠

2021年8月29日起稿
2021年9月9日掲載

『翁のたわごと』(伊藤喜作著 平成二年発行)に 「買い物と言えば犬山まで行く(中略)その犬山へ行くには、根本の石仏峠(西山町)を越えて・・・・・」とあり、下の挿絵がある。
挿絵
『翁のたわごと』124ページの挿絵

2019/9/2に根本の諏訪神社から華立峠まで歩いたとき、石仏峠(読みは不明)の位置にはあまり関心を持たなかった。帰宅後、古い地形図を見てゴルフ場の駐車場の辺りだと見当を付けた。
今回は、この石仏峠の位置を特定したい。


《机上の作業》

ありったけの地図を開き、石仏峠の位置を推測しよう。
5万図 数値地図
5万図「美濃加茂」昭和26年応急修正 数値地図25000(地図画像)「飯田」
平成15年4月1日発行

石仏峠が根本〜北小木の峠道だとすれば、石仏峠は根本から登った稜線の出合”B”か、稜線から北小木に下る”A”か、又はA・Bの間と推測される。
最初は経度緯度で位置を決めようとしたが、何の事はない。カシミールの数値地図に地名を作成して地理院地図を開けば位置は確定できた。
地理院地図
地理院地図

標高点326mはクラブハウス南側の路上、”A”は駐車場内で、”B”のみ昔の地形が残っていると分かる。それではフィールドワークへ。


《現地を見てみる》
2021年9月7日(火)

コース地図〈時間〉

諏訪神社 08:05
  ↓
ゴルフ場 08:50
  ↓
根本秋葉さま跡 09:30
  ↓
大杉さま 09:50
  ↓
諏訪神社 10:10

諏訪神社に車を置き、まずは元昌寺へ。元昌寺を起点として出発。お寺の横の道を登り、農免道路へ出て、KDDI基地局の階段を登り、多治見北GCを目指す。
アンテナの後には赤のビニテと道標が付けてあった。また初めて気付いたが、右側の沢には治水の跡がある。

治水の跡 治水の跡

湿っぽい道を登り、尾根道になると快適になる。何と大きなキノコを発見、長径25cmの大物だ。

キノコ キノコ

前回間違った分岐を見送り、次の分岐のBへ向かう道は倒木でふさがっている。迂回してBの分岐、すぐに電気柵。小さいコブを巻く所が一番高い。少し下って、ヤブになり、法面。

ここで持ち物を全てデポし、ハイカーの雰囲気をなくして、ゴルフ場に下りた。でもアウェイ感があり過ぎ、標高点326mの辺りを見に行くのはヤメにした。

石仏峠候補地 駐車場
コブを巻く一番高い場所、広くなっている 正面に道があったはず

駐車場で引き返し、根本城跡への分岐を過ぎ、神明洞右俣をのぞき、根本秋葉さまの跡を見て、廃林道に出合った。ところが、時間が早過ぎる。久しぶりに大杉さまをお参りすることにした。
えん堤を過ぎると草深くなる。そして、大杉さま。何と祠が新しくなっていた。

大杉さま 地元では大杉さま。『翁のたわごと』にはお社護司様(しゃごじさま)となっていて、痔の神様。この洞はお社護司洞とか大杉谷とか書かれている。

文化十三年(1816)に伐られた神代杉の跡に祀られたとか。
伐った大杉は尾根を越して、神明洞川から五条川に流したというから、すごい技術だ。


廃林道を引き返し、農免道路を渡り、犬山街道の跡を通って、諏訪神社に戻った。


《石仏峠の位置を推測する》

右図は数値地図25000(地図画像)「飯田」(平成15年4月発行)を拡大したもので、書きいれた標高は数値地図50mメッシュ(標高)「日本-2」(平成9年7月発行)で測定した。

根本から来るとBで道が分岐し、少し先で小さなコブを巻き、左山で進み、A付近は尾根道。
北小木へは、Aの南側でP326のコブを巻く感じになるようだ。

ゴルフ場の中は分からないが、現在残っている地形で見ると上図317の赤丸が石仏峠の最有力候補。根本から来れば坂を登ってひと休み、華立峠からなら尾根道が終わり、下り坂に備えてひと休み。広くなっていて馬もゆっくり休めるだろう。

《その他》

「自然のままの地形と景観を活かしながら・・・・・」(多治見北GCの紹介文より)
地形は多少残っているかもしれないが、自然は電気柵の外にしかない。

石仏峠〜北小木の峠道は10・11番コースの辺りだと思われる。


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