公事ガタワ・笹ガタワ

杉山から見る公事ガタワ
杉山から見る公事ガタワ

公事ガタワ 591.2m  笹ガタワ 560.0m
関市上之保地区 2015年10月10日(土) 地形図「金山」「美濃

コース地図

《山名について》

過日、SOTA JAの方から連絡があり、岐阜県山岳リストの山名を教えてほしいとの事。ならばと、美濃国限定で33座の山名を連絡した。その中には『上之保村史誌』の中にあった船山岳なる怪しげな山名も含んでいた。

「郷土史から採取しましたが現地では未確認です」との注釈を付けたが、そのまま山岳リストに掲載されてしまった。これはまずい。急いで確認しなければ、ということで出掛けた。

『上之保村史誌』では、4等三角点公事ガタワ(点の記では「こうじがたわ」)は船山岳、3等三角点白山は杉山岳となっている。

支道の入口の家の方は4等三角点公事ガタワは「クジガタワ」、山中で出合った40年くらい前までその支道の奥に住んでみえた方は「クジ」と言われた。また前者は、3等三角点白山は「笹ガタワ」と教えて下さった。
船山岳・杉山岳なんて山は聞いたことがないとの事。

『七宗町史』の太郎治小屋跡・多々羅屋敷跡の記載ミスに続き、今回の山名ねつ造。僕にとって、郷土史の信頼性は地に落ちた。ちなみに「石作山」の呼び名は削除し、「室兼高屋」に戻した。


《時間》

公事(クジ)ガタワ  P9:10−山頂10:30〜10:45−P11:40

笹ガタワ  P11:50−山頂12:45−P13:40


《公事ガタワ》

山名確認後、支道の終点まで入った。谷に沿って石垣があり、その縁を歩く。その道もなくなり、石垣を何段もよじ登り尾根に乗った。耕地が狭いので高い所までダンダン畑があったようだ。

乗った尾根と西の尾根の間は皆伐されていて、尾根上には道があった。しばらく登ると人がいる。この先の状況を聞き先を急ぐと、間もなく尾根が合流。この先で植林は終わるが、ヤブは薄い。

平らになったので進みかけたが、ヤブの中に何やら白い杭。軽薄そうな標識があった。写真を撮る為にヤブを開くが、今日はナタを持参していないので素手で枝を折る。そして、早いけどお昼にした。

下山すると、さっきの場所におじさんはまだいた。ヘボ捕りの下見だという。またこの辺りは自分の山で、支道の終点手前の空き地に父親が36年前まで住んでいたという。その方曰く「クジ」と呼んでいたとのこと。でも三角点白山の山名は御存じなかった。

かなりの時間お話しを聞き、教えてもらた通り尾根通しに下ると支道の終点手前に降り立った。

伐採地 4等三角点公事ガタワ
伐採地 4等三角点公事ガタワ(こうじがたわ)

山頂風景

支道終点
山頂風景 支道終点(左に道がある)

《笹ガタワ》

s-ngmさんはこの三角点の間の尾根を歩かれているが、僕にはそんな体力はないので一つづつ歩く事にする。記録では林道が境界尾根まで登っているらしい。

また、3等三角点白山の点の記は一度も更新されていないようで、珍しい書式だ。コチラ
ちなみに、俗称はクワナギとなっている。

林道に入り、浄水場の路肩に車を置いた。えん堤工事の為の道が分岐すると、その先は萱の原っぱ。通行止めの段差や崩れた所、かなり以前に作業が終わったようだ。そして、谷を離れ尾根と合流したが、これを境界尾根と決めつけた。

廃林道 尾根と合流
廃林道 尾根と合流

廃林道は松や杉の幼木で通行不能、仕方なく尾根を歩く。かなりの傾斜を登ると道に出合い、鉄塔表示板も出てきた。
このコブが山頂だとは思うが、良い取付きがなく51番鉄塔に到着。高賀山群が霞んでいる。

来た道をもっどり、尾根のヤブをくぐると笹ガタワ山頂。一人分のスペースしかなく、早々に道に戻った。

51番鉄塔から高賀山群 3等三角点白山
51番鉄塔から高賀山群 3等三角点白山

帰路では、時間もあるので、s-ngmさんの記録にある石仏(円空峠の杉山側)を見に行こうと思っていた。廃林道の終点を確認して尾根を下って行くと、と、と、尾根が切れてガケになった。
廃林道が続いているのでパニックにはならなかったが・・・・・
(注:円空峠は点の記では杉山峠となっている。)

今日は津保川辺りの土地勘がなく、地図の代わりにタブレットを持参していて、それをリックに入れて持って来た。もちろん、カンニングはよろしくないが、ちょっと覗いてみた。
そうか、境界尾根と思ったのは支尾根で、境界尾根から50mHも下っている。

今更登り返す元気もなく、峠の石仏はまた今度ということにした。


《雑感》

GPSの精度の悪いタブレットでも十分に役に立つ。しかし昔、写真と地形図を見比べて、分度器と物差で山名同定していた方がカシバードで一発検索するよりも面白かった。
そのことを思えば、デジタル機器に頼らず、コンパスと地形図を見て歩く方が良いようだ。

『上之保村史誌』には他にも多くの山名が出てくるが、ほとんどが一番奥の集落名+山。
じゃ何故、船山(大字)と杉山(字)は岳なのかは理由は明白、山山になってしまうから。
安易な命名で信頼性はほぼゼロ。


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